- じょう
- I
じょう【丈】※一※ (名)(1)尺貫法の長さの単位。 一〇尺。 1891年(明治24)100メートルを三三丈と定めた。(2)長さ。 たけ。 丈尺。(3)「杖(ジヨウ){(2)}」に同じ。※二※ (接尾)(1)芸人の名前に付けて, 敬意を表す。
「尾上菊五郎~」
(2)近世, 男性の名前に付けて, 敬意を表す。II「武兵衛~/浄瑠璃・潤色江戸紫」
じょう【上】※一※ (名)(1)程度・等級・身分・地位などがまさっていること。 すぐれていること。⇔ 下「~の位」「成績は~の部だ」「~のうな丼」「従(ジユ)五位の~」(2)順序が先であること。「~の巻」
(3)進物などの包み紙に書く語。 「たてまつる」の意で, 相手への敬意を表す。(4)「上声(ジヨウシヨウ)」に同じ。「平~去入」
※二※ (接尾)名詞に付いて, …に関して, …の面で, …の上でなどの意を表す。III「一身~の都合」「道義~の責任」「行きがかり~しかたがない」
じょう【丞】律令官制の四等官の一である判官(ジヨウ)のうち, 省の官に当てる用字。IVじょう【乗】※一※ (名)(1)乗り物。「古へ屈産(クツサン)の~, 項羽が騅(スイ)/太平記 13」
(2)数を掛けること。 掛け算。(3)〔仏〕〔人々を乗り物で悟りの彼岸に至らしめることから〕仏の教え。 仏教の教義。(4)記録を記した本。 史書。※二※ (接尾)助数詞。(1)同じ数を掛け合わせる回数を数えるのに用いる。「三の二~」
(2)車の数を数えるのに用いる。V「万~」
じょう【判官】律令制の四等官の第三位。 その官司の職員をとりしまり, 主典(サカン)の作成した文案を審査し, 宿直を差配するのが主な役目。 官司によって表記を異にする。 ぞう。→ 四等官VIじょう【城】しろ。 とりで。VII「正成は, 金剛山千早といふ所に, いかめしき~をこしらへて/増鏡(久米のさら山)」
じょう【場】事の行われるところ。VIII「フランス座の廻廊には~を出でたる人押合へり/ふらんす物語(荷風)」
じょう【嬢・娘】※一※ (名)娘。「お~」「私や~はよろしうござりますが/滑稽本・玉櫛笥」
※二※ (接尾)(1)未婚の女性の氏名に付けて, 敬称として用いる。「田中~」
(2)職業を表す語に付けて, その職にたずさわる女性であることを示す。IX「交換~」「案内~」
じょう【定】※一※ (名)(1)決めたこと。 約束。「二月ならば末代欠き申すまじき由, ~申ししあひだ/申楽談儀」
(2)そうなるに決まっていること。 必然のこと。 必定。「案の~」「二とせあまりにすつきりとないが~なり/浮世草子・置土産 2」
(3)本当のこと。 真実。「いやいや, 確か無いと聞いたが, 有るが~か/狂言記・佐渡狐」
(4)弓の弦の中央の矢はずをかける所。 麻を巻き少し太くしてある。 探(サグ)り。「張り候ひて, そとす引をして, ~にて弦音一度, ~より上にて一度/今川大双紙」
(5)〔仏〕〔梵 samādhi〕意識を一定の対象に集中させることで体験される宗教的精神状態。 宗教的な瞑想状態の一種。 三昧(サンマイ)。⇔ 散(6)(形式名詞)(ア)ありさま。 ようす。 状態。「うるはしく装束きて, 冠・老懸などあるべき~にしければ/宇治拾遺 15」(イ)程度。 範囲。 「大矢と申す~のものの, 十五束に劣つて引くは候はず/平家 5」
(7)(接続助詞的に用いて)…といっても。 …とはいうものの。「大名一人と申すは, 勢の少ない~, 五百騎に劣るは候はず/平家 5」
※二※ (副)確かに。 きっと。「やい, ~言ふか。 も一祷(イノリ)ぞ祷つたり/狂言記・柿山伏」
~に入(イ)・る禅定に入る。 入定する。X「先づ一七日の間~・り/太平記 12」
じょう【尉】(1)律令官制の四等官の一つである判官(ジヨウ)のうち, 衛府・検非違使の官職に当てる用字。(2)能で, 老翁。 また, その役の付ける面。⇔ 姥「この~が御道しるべ申さうずるにて候/謡曲・竹生島」→ 翁(3)白い灰になった炭火。「最前からおこいて置いたによつて, さんざん~が立つ/狂言・栗焼(虎寛本)」
~と姥(ウバ)謡曲「高砂」の前ジテの木守りの翁(オキナ)とシテツレの木守りの姥。 この老夫婦が松の落ち葉を掻(カ)く姿は, 大変めでたいものとされ, よく画題とされた。XIじょう【帖】※一※ (名)(1)折り本。 折手本(オリデホン)。(2)屏風(ビヨウブ)。※二※ (接尾)助数詞。(1)紙や海苔(ノリ)を数えるのに用いる。 美濃紙五〇枚(大正以前は四八枚), 半紙二〇枚, ちり紙一〇〇枚, 海苔一〇枚で, それぞれ一帖。(2)たたみを数えるのに用いる。 畳(ジヨウ)。(3)折り本を数えるのに用いる。「五十四~の長編」
(4)屏風や盾(タテ)を数えるのに用いる。(5)幕を二張りずつ一まとめにして数えるのに用いる。(6)雅楽で, 楽章の遍数を数えるのに用いる。XII「蘇合の五~/増鏡(老のなみ)」
じょう【情】(1)何かを見たり聞いたりして起きる心の動き。「好悪の~」「憐憫(レンビン)の~」「~が激する」
(2)人が本来もっている性質。「~がこまやかな人」
(3)他人を気の毒だと思う気持ち。 思いやり。 なさけ。「~にうたれる」「~において忍びない」
(4)特定の異性を愛する心。 恋情。「~が濃い」「~を交わす」
(5)実際のようす。 ありさま。「~を明かす」
(6)我(ガ)。 意地。 頑固。 [日葡]~が移(ウツ)・る次第に, 愛情や親しみを覚えるようになる。「犬も三日飼えば~・る」
~が強(コワ)・い強情(ゴウジヨウ)である。~に厚・い相手を思いやる心が豊かである。~に絆(ホダ)さ・れる相手の情に強く引かれる。~に脆(モロ)・い人情に動かされやすい。~を立・てる義理をたて通す。「あんないくぢなし男に~・つて女郎に売られることはないわな/滑稽本・浮世風呂2」
~を通・ずる(1)敵に内通する。(2)密通する。~を張(ハ)・る意地をはりとおす。XIII「熱湯好きうぬばつかりが~・り/柳多留 5」
じょう【掾】(1)律令制で, 国司の判官(ジヨウ)。(2)江戸時代以後, 浄瑠璃の太夫の芸名に, 国名とともに与えられる称号。 大掾・掾・少掾の三階級があり最高の栄誉とされた。 掾号。XIV「竹本筑後~」
じょう【杖】(1)律の五刑の一。 衆人環視の中で尻を打つ刑。 回数は六〇回から一〇〇回まで五段階。 刑具の杖は笞(チ)より径が一分太い。 杖刑。 杖罪。(2)鎌倉・室町時代の土地面積の単位。 一杖は一段の五分の一で, 六〇歩または七二歩。 つえ。 丈。XVじょう【条】※一※ (名)(1)ひとつずつ書き分けた文章。 箇条。「仁徳七年四月の~に見える事件」
(2)条坊制で, 南北を九つに分けた一区画。(3)古代, 条里制の耕地の一区画。(4)(形式名詞)こと。 かど。 段。「無音(ブイン)に乱入の~甚だいはれなし/保元(中)」
(5)(候文で, 接続助詞的に用いて)…によって。 …故に。「信長別して入魂申され候~, いよいよ向後御隔心なく/秀吉書簡」
※二※ (接尾)助数詞。(1)条文・条項などを数えるのに用いる。「十七~の憲法」「憲法第九~」
(2)細長いものを数えるのに用いる。XVI「一~の光」「九~の白旗」
じょう【状】(1)手紙。 便り。(2)ありさま。 ようす。XVII「その悲惨の~は見るにしのびない」
じょう【畳】助数詞。 たたみの数を数えるのに用いる。XVIII「千~敷」「四~半の部屋」
じょう【諚】主君や貴人の仰せ。 命令。「御~まことに忝なう候/平家 9」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.